モダンタイムス

都会の喧騒と鬱蒼をあえて身に受け、モボ・モガは今日も行く。

クロネコ
大泉黒石ほか/カフェークロネコ/昭和4年創刊号
品切れ中
Condition;口絵欠け 少痛み

銀座のカフェー「クロネコ」が発行した雑誌の創刊号。残念ながら沼田一郎の口絵「クロネコ繁盛の図」は失われていますが、大泉黒石や田中宇一郎らの寄稿や、「社交ダンスに関する感想」では、稲垣足穂や岡本かの子も回答を寄せていて、画家や文学者が店に出入りするなかで、この雑誌が生まれてきたことが推測できます。表紙は山口謙哉の石版。発行者は「少女画報」などの編集にも携わった詩人の下田惟直。なお、このカフェークロネコについて、『新版大東京案内』(1929年)には、「服部時計店の隣りに最近新築のなった船のクロネコは外貌を大きな商船に象って、レストランとバーと、珍奇な設計を施して銀座カフェーの一名物となっている。」とあります。くわしくは、→こちらへ


仏展図録
朝日新聞社/大正14年
price;\2800
Condition;編年汚れ

1925年に開催されたフランス現代絵画の展覧会図録。これを見つけたのは、渋谷区内の骨董市。手に取ったとき、行商のオジサンが、「オッ、いいの見つけたね。窓から裸が見えてるよ」と言ってきました。そんな卑猥な感情でこの本に興味を持ったのではない、っと思いましたが、この画像では分かりにくいですが、たしかに表紙に丸く穴を開けて、口絵のヴァン・ドンゲンの裸婦が覗けるようになっています。紹介されている絵画は、後期印象派のものがほとんどで、特に興味を引くものではありませんが、やはり表紙に窓を開けて、裸婦が見える工夫をした人の心模様もうかがえて面白い。よくこの穴が破れずに残っていたものです。ちなみに、この展覧会については、村山知義が寄稿した朝日新聞・同年9月の『三科展の門塔』という記事でほんの少しだけこんな風に触れています。「MAVOとNNKとの合同作品の此の門塔は全く素晴らしいものだ。上野の山は生れて初めてこんな堂々たる作品を見た。おとなりのフランス展のセルロイド製の門塔と比べて見るとほほ笑ましくなる・・・」。25.7cm×19cm、64p。三科展については、→こちらへ。


独逸展
朝日新聞社/大正15年
品切れ中
Condition;編年汚れ

フランス展の翌年に開催のドイツ現代美術展の図録。こちらは、表現派やゲオルグ・グロッスなどの新即物主義絵画のほか、木製玩具などの工芸品も紹介されていて、あくまでも店主の趣味ですが「仏展図録」より面白い。表紙絵は誰の作かわかりませんが 構成主義的デザインで興味を引きますが、紹介されている絵画には、なぜかこのような作品は見られません。ただ、描かれているスポーツ選手のような人体図と似たポーズを取った吹きガラス作品が紹介されています。26p×18.7cm、64p。


白眉ヴァイオリン独習
白眉社編集部/白眉出版社/大正13年
price;\2,800
Condition;良

楽譜などの出版で知られる白眉出版社のヴァイオリン独習のための教本。童画風な挿絵を使ってヴァイオリンの持ち方、弓の握り方などを丁寧に説明しています。ちなみに国産ヴァイオリンの第一号は、明治13年に東京深川の松永定次郎という人が制作したそうです。大正時代に、ヴァイオリンは現在のギターのような存在となり、演歌の伴奏などでもなくてはならないものでした。 ヴァイオリンを片手に 歓楽街を回る「流し」の演歌師などもこのころ生まれています。26p×19cm、33p。なお、白眉社のロゴマークは、チャーミングなふくろうです。画像はこちらで。


第3回日本ポスター展覧会目録
日本ポスター研究会/1934年
品切れ中
Condition;少シワ

これは、ただ一枚の紙を三つ折にした目録で、表紙以外に図版もないものですが、興味深いのは河村運平(1906〜1966)の名が登場していること。河村は現在ではあまり名前が知られていませんが、 昭和6年の「商業美術振興運動」の第1回公募展で若干25才にして最高賞である商工大臣賞を受賞した才人。昭和8年には、この目録にも名前がある小山新三郎と「日本ポスター研究会」を結成。これは、そこが主催する第3回展覧会の目録です。 彼のことを「日本を代表するポスター作家」と評する人もいます。


松屋グラフ
銀座松屋/1931年
price;¥1,200
Condition;虫食いアリ

東京銀座松屋の11月号カタログ。ページを開くと防寒用品特集の最初には着物用コートが登場。続いて長襦袢、銘仙と夜具、子ども用ジャンパー、ショールと襟巻きなどなど。その他は文房具、敷物、家具、子ども用乗用車、乳母車などが紹介されています。折込広告として「吾妻橋浅草松屋」開店のお知らせがあり、「隅田川より見たる浅草松屋」の堂々たる建築風景の写真が載っています。また、「御注文の栞」もそのまま残っていて切り離すことができる振込み用紙がついています。


三越カタログ 第一巻第三号
東京三越呉服店/ 大正13年5月
price;¥1,200
Condition;ページ破れアリ

こちらは、江戸時代から続く老舗だけあって、シックな着物中心のカタログ。でも、単帯、紳士用単衣と羽織地の紹介などが掲載されているかと思えば、突然、夏帽子、洋傘のカタログが登場。この時代、男女、子どもを問わず麦を編んで作った帽子が流行していたらしい。洋傘は華やかでどこかやるせなさも醸し出しています。26.5cm×18.9cm、14p。


ABC研究 第三巻第一号
吉田幾次郎/英語研究社/大正4年1月
price;¥1,800
Condition;編年痛みアリ、ページはずれアリ

22.3cm×15cm、132頁。 英語学習のための雑誌。イラストが豊富で、書かれている文章がかなりオカシイ(こう言っては失礼ですね)。 英文だと思いきやローマ字で書いた日本語だったり、また「大戦画報」での挿絵の説明はこんな風です。「前出二頁続きの大写真はEnglandのpainter Mr.D.Maxwellのpenになるもので、今回の大戦争に英国のcruiser数隻が、敵のGerman submarineの不意のattackを受けて、果敢なくsinkして行く時のsceneを写したのです」。でも、こんなやり方のほうが、ひょっとしたら英語のmasterが早いのかも。くわしくは→こちらへ。


モボ・モガ 1910−1935展
酒井忠康・水沢勉ほか/神奈川県立近代美術館/1998年
品切れ中
Condition;良

日本における近代的・個性的男女の総称「モボ・モガ」と先端的美術を結びつけて構成した展覧会のカタログ。「モボ・モガ」とは“モダンボーイ・モダンガール”の略語。その初出は雑誌『女性』1924年8月号のテキストの題名だそうです。水沢勉はカタログ・テキストで第10回倫雅賞を受賞しています。 26p×19cm、273頁。


現代図案文字大集成
辻克己/浩文社/昭和9年
品切れ
Condition;編年イタミ

大正・昭和初期の図案・文字を「特殊図案文字」「いろは図案文字」「モノグラム・マーク集」「各流書体と活字体」「著名商品文字」「図案英文字集」「「映画演芸・広告図案文字」に分類して網羅したまさしく大集成といっていい本。この時代の広告文字などには「右横書き」にするか「左横書き」にするかの葛藤が見られ、それだけが原因ではないでしょうが、人肌の温もりを感じさせてくれます。タイポグラフィーというより「民芸品」を見ているような味わいです。26p×18.8cm、320頁。くわしくは→こちらへ。


イット
エリナァ・グリーン、松本恵子訳/天人社/昭和5年
price;¥4,200
Condition;函ナシ、背傷み

クララ・ボウ主演の映画「it」の原作を松本恵子が翻訳した本。残念ながら函がありません。この映画の影響で性的魅力・セックスそのもののことを「イット」と呼ぶのが流行となりました。1927年に公開されたときの邦題は『あれ』だったようです。 17.7cm×13cm、216頁。


タアキイ
水の江瀧子ほか/水の江会/昭和12年11月号
品切れ中
Condition;表紙少破れ

1928年、東京松竹楽劇部が創られ、一期生として16名が採用された中に、のちに大スターに成長する水の江瀧子がいました。この「タアキイ」という雑誌は、当時2万人を越えていたといわれるファンクラブ「水の江会」が、発行していたもの。私はNHKテレビの「ジェスチャー」に出演していた彼女を、かすかに記憶しているのですが、あれはリバイバル放映だったのでしょうか。この雑誌には、木村伊兵衛が撮影した瀧子が、6ページにわたって掲載されていますが、特大ファンクラブが設立されるのも納得の、なんという端正な美しさ。25.8cm×18.8cm、64頁。


タアキイ 水の江瀧子伝
中山千夏/新潮社/1993年初版
品切れ中
Condition;良

「松竹少女歌劇のスター、日活映画のプロデューサー、テレビタレント、目立ったところだけでも、六十余年の間にこれだけ色とりどりな仕事をしてきた。しかも、どの分野でもなまなかでない業績を残した。(中略)一口で言えば、女であるがゆえに、タアキイさんは真の評価を受けずにいる、と私は思い、それなら一つ微力を尽くして、せめて彼女の業績を正しく記録に残す仕事なりともしてみよう…」(中山千夏の文章より)。19.7cm×13.8cm、365頁。


MADAM BUTTERFLY 蝶々夫人
三浦環/東京連合婦人会/1936年
price;¥1,800
Condition;良

日本で初めて国際的な評価を得たソプラノ歌手、三浦環の歌舞伎座での公演プログラム。欧米各地で、彼女が出演した「蝶々夫人」は、絶大な人気を得ていて、その公演回数なんと2000回。でも、日本では、これが最初の公演となったものです。作曲家のプッチーニからも、「三浦の蝶々夫人こそ理想的なもの」とのお墨付きまでもらっていたとのこと。海外公演での模様を伝える写真図版なども、掲載されています。25.7cm×18.7cm、23頁。


オペラと映画 家庭科学大系81
伊庭孝、森岩雄、牛原虚彦/文化生活研究会/昭和3年初版
price;¥2,000
Condition; 背少スレ、蔵書印

『アロハ・オエ』などの作詞で知られる音楽評論家・伊庭孝が「オペラの聴き方観方」。東宝の創始者の一人・森岩雄が「映画と鑑賞」。『大地は微笑む』などの映画監督・牛原虚彦が「映画製作の実際」をそれぞれ執筆しています。18.9p×13p、148頁。


映画藝術研究 第十一集
成瀬巳喜男、瀧口修造ほか/藝術社/昭和9年12月
price;¥2,800
Condition;並

基本的には季刊誌ですが、不定期に刊行されていた映画誌です。特別読み物として「商船テナシチー」の脚本が収録されていますが、これは輸入後すぐに封切りされたため、瀧口修造が帝劇に何度も通い再録した苦心作だそうです。そのほか、成瀬巳喜男・監督の「乙女ごころ三人姉妹」の脚本、マルセル・パニヨオルの「演劇トオキイ論」などが収録されています。18.7p×13.2p、269頁。


帝劇 第四十号
帝国劇場文藝部/大正15年3月号
品切れ
Condition;傷みアリ

帝劇の上演・上映演目ニュース。大阪河合ダンス・バレー公演のかわいらしいモダンダンス、新国劇澤田正二郎一座、 カーピ伊太利大歌劇団来演、などの口絵写真。そのほか牛山充「世界に於ける伊太利歌劇」、「ドン・キホーテの夕」、「国際劇場藝術家会議」、「外人の見た帝劇」などなど。22.4p×15.2p、66頁。


帝劇 第四十一号
帝国劇場文藝部/大正15年4月号
品切れ
Condition;少傷みアリ

口絵写真は、伊太利大歌劇、船上のマッコオマック氏など。そのほか「テッド・ジョウン氏の日本舞踊観」、「レヴィツキ氏の演奏旅行の印象」、「モスコウ藝術座の独裁制」、「ラインハルトのコメディ座」など。表紙絵は、井上弘範。22.3p×15.2p、75頁。


ネクタイの話
丸善株式会社/昭和4年
品切れ中
Condition;良

丸善がネクタイの展覧会を開催するにあたり、発行した小冊子。各ページに図版があり、それは丸善の依嘱によりフランスの某画伯が参考資料を模写したものだそうです。ちなみに表紙絵は、フランス大革命執政時代の「気障なハイカラ」とのこと。19.4cm×10.5cm、20頁。


女性美建立
田中比左吉/中央美術社/昭和4年
品切れ
Condition;ページ外れアリ、函付き

「封建の町娘と銀ブラのモガとでは娘の魂、約して娘魂がまるきり違う。形の末はいうだけ野暮、女根女体は悠久に移りさすらうから、芸術の炬火を振り翳して、これを遂う芸徒も、絶えず共に移りさすらはねばならぬ」(著者)。画業10年を女性ばかり描き続けてきた著者が、一里塚の意味を込めて女性画の集大成をした書。山の手令嬢や若奥様、銀座のモダンガールまで、作者の妙な節のついた文章とともに、紹介しています。


甦える昭和ロマン ロマン・ムック1
小学館/1976年
price;¥1,500
Condition;愛読者サービス付録ナシD

この本は二重の懐かしさを味わえるおいしい本。情緒あふれるショットで切り取られた多数の写真にうっとりし、ところどころの広告ページに登場する顔(若き日の八千草薫など)や品々(ステレオなど)の懐かしさにまた見とれます。目次から引くと−「懐しの昭和博物館」 「ああ活動大写真」 「昭和一桁を彩る美女」などなど。28.8cm×21.3cm、202頁。


都市風景の発見 日本のアヴァンギャルド芸術
海野弘/求龍堂/1982年
price;\2,200
Condition;良

世紀末、20年代などを中心に、幅広い文化論、風俗論で知られる海野弘が、欧米の20年代と日本の近代がどのように対応しているか、日本の近代美術が20年代にどのような展開をしたかなどの文章をまとめた本。 第一部「都市の表現者たち」では、国吉康雄、村山知義、清水登之らを取り上げ、第二部「モダニズム再考」では、日本の20年代といったコンセプトは成立するかなど、第三部「日本の一九〇〇年」では20年代を準備した日本の世紀末を、第四部「もう一つの世紀末」では、20世紀にさしかかった現代の美術について、をそれぞれ展開しています。21.6cm×15.3cm、321頁。


ダンス! 20世紀初頭の美術と舞踊
栃木県立美術館/2003年
品切れ中
Condition;良

今世紀初頭の日本の美術家たちが舞踊に関わることで生み出された美術を紹介する展覧会のカタログ。舞踏家・石井漠や伊藤道郎らを視野に入れながら、美術家たちのさまざまなダンスとの関わりが珍しい写真や図版で紹介されています。面白いのは、前衛美術集団「マヴォ」を結成した村山知義のセクションが設けられていること。あらゆる分野で表現活動を行なった彼は、ダンサーでもあったのです。26.6cm×19.4cm、237頁。 くわしくは →こちらへ。


舞踊表現と基本指導
石井漠/啓文舘/昭和26年初版
品切れ中
Condition;激しいイタミ

日本のモダンダンスのパイオニア石井漠が、戦後に出版した舞踊理論と実際を丁寧に解説した書。石井漠の「序の言葉」から−「本書に収められた練習法は、勿論舞踊家を作る為の練習法の一部ですが、どんなに高度の舞踊藝術を創作する為にも、これだけのことは是非とも動きの常識として身につけて置くべきだと思います。(中略)本書の第二編のリズム練習法は、ダルクローズ氏のそれを参考にしたが、『自然運動法』、『八つの腕のポズィションとその展開』は全く私の創意によったものである」。18.2cm×17cm、147頁。


アサヒカメラ 臨時増刊 夏の大衆版
東京朝日新聞社/昭和12年6月
price;\2,000
Condition;良

昭和12年といえば日中全面戦争に突入した年。「パーマネントはやめましょう」という言葉も広がっていた時だというのに、この雑誌の誌面には、しっかりパーマネントをして、しかも水着姿の女性がたくさん写っています。25.6cm×18.9cm。


最近 趣味の発明界
松平道夫/太陽堂書店/大正13年初版
price;\3,500
Condition;虫食い極少アリ、その他は良

発明、発見を図版とともに網羅していて、当時の「現代文明の概観」をうかがい知ることができる本。目次より−「現代文明の基礎としての動力」、「鉄道の沿革」、「地下鉄道」、「自動車の発達」、「コンクリート船」、「潜水船」、「最近の飛行船」、「電信及び電話」、「最新の印刷術」、「写真術及び特殊写真術」などなど。22.3cm×15.3cm、336頁。


第三回 川島理一郎 個人展覧会
川島理一郎/1935年
price: ¥3,000
condition:良

川島理一郎の第三回個展の図録。モノクロで10図が収録されていて、高知在住の知人宛の封書に収められています。18.8p×13.1p。→more


川島理一郎展
木村理恵子ほか/栃木県立美術館/2002年
price;¥2,500
Condition;良

栃木県立美術館ほかで開催された川島理一郎展のカタログ。 1905年、若くしてアメリカに渡り、ニューヨークやワシントンで美術を学び、1911年にはフランスへ。パリでは藤田嗣治と行動をともにし、第一次世界大戦の勃発に際してもフランスに残り、藤田や彫刻家ザッキンとともに赤十字に志願。14年ぶりに故国の地を踏んだのが1919(大正8)年、新設された資生堂陳列場(現資生堂ギャラリー)において個展を開催。1920年からはふたたびパリに暮らし、制作に励むとともに、最新のファッション情報を伝えるなど、文化の媒介者としての役割もはたす。1925年、国画創作協会第二部の創設に際しては、梅原龍三郎と共に同人として参加、1928(昭和3)年の同協会解散後は、新たに国画会を組織・・・。めまぐるしく世界を叉に掛けて活動し、制作をつづけた彼の画業をたくさんの図版で回顧。28p×22.6p、175頁。


日本のアールデコ
末續尭/里文出版/1999年初版
price;\2,800
Condition;良

日本の「アールデコ」といえば、現在は庭園美術館となっている旧朝香邸が思い浮かびますが、あそこへ行くと、「日本にもこんな時代があったんだ」と感慨にふけってしまいます。この本では、そんなアールデコ様式を取り入れた陶磁器、ガラス器、文房具、インテリア、時計、商業美術、服飾品などが、271点のカラー図版を含む500点余の写真で紹介されています。これらは一介のサラリーマンである著者のコレクションというから、これまたビックリ。著者いわく、「日本の古美術商は、未だにほとんどその価値に気づかずにいる。・・・このままでは、日本のアールデコは浮世絵や根付の二の舞になる可能性がある。出版を急いだ理由の一つにはそれもある」。24.8cm×18cm、158頁。


別冊太陽 発禁本
城市郎/平凡社/1999年初版
品切れ
Condition;良

著名な発禁本コレクター城市郎の一万数千冊におよぶ膨大なコレクションから厳選した資料をテーマごとに分けて紹介し、全ページカラーの書影を満載した感動的なシリーズの第一弾。構成担当の米沢嘉博の文章から−「(城市郎氏は)現在唯一の専門家であることもまちがいない。そのコレクションを一堂に会し、図録にまとめ、その後の研究の一部を収録した本書は、つまり『発禁本』研究と蒐集がたどりついた『結実』にほかなるまい。そして、それは唯一無二の、前例のない一冊となることも、ほぼ決定しているのである」。29cm×22cm、296頁。


別冊太陽 発禁本U 地下本の世界
城市郎/平凡社/2001年初版
品切れ
Condition;表紙に少折れアリ

発禁本の概観的な流れを追った前書の刊行から、さらに城市郎のコレクションは増加し、続編の必要性が生じてきたため出された本。しかし、単なる補遺ではなく、対象を発禁本の周辺、すなわち、非公刊本、会員制頒布本、地下本、機関誌、などにまで拡げ、より体系化をはかって編まれたとのことですが、本書はどうも「艶本」が中心。こちらも全ページ溢れんばかりのカラー書影満載。29cm×22cm、204頁。


別冊太陽 発禁本V
城市郎/平凡社/2002年
品切れ
Condition;良

発禁本シリーズの完結本。第二巻では性愛中心の構成でしたが、第三巻では機関誌、会誌、私家本、限定本など少部数の出版物を中心に、左翼、右翼、宗教、オカルト、趣味本がまとめてあります。本書は、城市郎のコレクションのほか、向坂文庫、長尾桃郎文庫の所蔵品を加え、さらに国立国会図書館蔵の旧内務省本から撮影し各章に散らしているとのこと。 最後に発禁本TUVの書名・人名総索引があり、ここまで徹底した仕事に拍手。29cm×22cm、295頁。


水辺のモダン
山口昌男ほか/東京都現代美術館/2001年
品切れ
Condition;良

東京都現代美術館で開催された展覧会のカタログ。この美術館が立地している地域(江東・墨田)からの視点で、近・現代美術の歴史を見つめ直したもの。そういえばいまでも、墨田川を“あちら側”(江東・墨田エリア)へ渡ると、一気に雰囲気が変ってしまいます。たしかにここには、見えないけどシッカリと一線が引かれていて、私は気分的には、やはり“あちら側”の人間だな、などと感じてしまいます。藤牧義夫、小野忠重、木村伊兵衛、桑原甲子雄、杉浦非水などの作家が紹介されています。21.3p×15p、207頁。


あゝ 活動大写真 グラフ日本映画史・戦前篇
朝日新聞社/1976年
price;¥1,500
Condition;少汚れ、ヤケ

戦前の日本映画を写真でつづる映画史。巻頭カラーページ「ポスターで見る日本映画」では、明治36年の『着色活動大写真』、『宵待草』などのポスターと、代表的な映画雑誌の書影。本文では、明治・大正・昭和の懐かしいスチール写真など。特集では、「5人のチャンバラスター」、「長谷川一夫」、「歌謡映画」など。27.2p×20.4p、258頁。


現代思想 特集 日本の一九二〇年代
中村英樹ほか/青土社/1993年7月
price;¥1,500
Condition;少汚れ

中村英樹「不可解な場の曲線群」(1920年代日本絵画の意外さ)、吉見俊哉「運動会という近代」(祝祭の政治学)、柿本昭人「牧人=司祭としての今和次郎」、川村邦光「女の病、男の病」(ジェンダーとセクシャリティをめぐる“フーコーの変奏”)、古川誠「恋愛と性欲の第三帝国」(通俗的性欲学の時代)、などなど興味深い論考が多数掲載されています。22.1p×14.2p、310頁。


元禄小袖からミニスカートまで
三越三百年の経営戦略 (函入り二冊組)

戸坂康二、高橋潤二郎/サンケイ新聞社/1972年初版
price;\2,800
Condition;良、本の天に少シミ

サンケイドラマブックスの22と23の二冊を函入りセットで出版された本。
「元禄小袖〜」では、“日本のファッション300年絵巻”と副題にあるように、図版を中心にして絵本をながめるようにファッションの移り変わりを見ることができます。表紙絵とデザインは画家の宮本三郎が担当しています。18.3cm×12.9cm、254頁。
「三越三百年〜」では、 こちらも豊富な図版を使って三越の歴史を語っています。震災直後の三越百貨店の写真なども掲載されています。18.3cm×12.9cm、242頁。


近代たばこ考
大渓元千代/サンブライト/1981年初版
price;¥1,000
Condition;カバー少汚れ

最近では“たばこ”は嫌われものですが、喫煙者はカッコイイ「ハイカラの象徴」だった時代がながーく続いていたのです。「健康でなければカッコ悪い」というのはいいことのようですが、人々から“酩酊状態”みたいなものをあまりにも排除するとこれまたつまらない世の中になりそう。この本には“たばこ”関連の多数の懐かしい図版も掲載されていて、けっこう酩酊状態になれます。たばこ年表付き。19cm×13.4cm、225頁。



美術手帖 特集・大正のグラフィズム
海野弘他/美術出版社/1976年4月
price;¥1,000
Condition;少シミ

本書に収録された海野弘の文章から抜粋。「大正時代とは、一九〇〇年前後に準備された複製芸術が、若々しく花開いた時といえよう。印刷技術の発達に対して、自刻自刷の版画運動などもおこったが、それはたんに失われてゆく手の技術の復興といったことではなく、複製芸術に深く絡んだ問題だった」。


太陽 特集・銀座モダン
池田弥三郎、篠山紀信ほか/平凡社1978年8月号
price;¥800
Condition;並

先日、銀座のとあるギャラリーへ行きましたが、そのギャラリーが入っているビルは戦前に建てられたものらしく、じつにいい味。探してみると、銀座にもまだこんなビルがあるものですね。この雑誌が発行された頃には、昭和初期モダン建築がいまよりもっと残っていたのでしょう。かの福沢諭吉の主唱のもとに建てられた社交施設「交詢社ビル」などが、篠山紀信の写真で紹介されています。ちなみにこのビル、現在は新築されて、かつての面影はまったくありません。29p×21p、170頁。